コラム

今後の医療はどうなるのか:2020年の医療予測【翻訳】

投稿日:2020年10月2日 更新日:

今後、医療はどのように変化していくのでしょうか。

未来を予測して行動することで、早めの対処ができ、計画的で効率的に動くことができます。

世界的に有名なアメリカのジョンズ・ホプキンズ大学が記事としてまとめてあるので、翻訳し、私なりに考察してみました。

日本の状況とも併せて考えていくために、解説も加えています。

ビッグデータ

ビッグデータと人工知能は、研究と健康ITに影響をもたらし続ける。看護は、これらの流れについていけるだろうか?

◎解説

医療の世界も、どんどんITを活用する流れになっていますね。

ちなみに、日本では、2022年に看護のカリキュラムの改正が行われます。カリキュラムの改正の中で、ICTを活用できる人材を育成することがポイントとされており、日本でもアメリカと同じような流れになっていますね。

プライマリケア

プライマリケアは、看護巻き込む形で進化していく。

定期健診は、より機能的で包括的になり、社会的要因も考慮されるようになる。そして、 トラウマインフォームド・ケア(trauma-informed care )が枠組みの中に含まれるようになるだろう。

つまり、システム化+患者の個別性の視点が大事だと言うことです。

◎解説

今までは、患者さんの経済面だとか、家族背景に視点を向けていたけれども、もっと精神的な内面の部分にも配慮した関わりをしようということですね。

<補足説明>

・プライマリケアとは⁇

緊急の場合の対応から、健康診断の結果についての相談までを幅広く行う医療のことです。

・トラウマインフォームド・ケア(trauma-informed care )とは⁇

トラウマインフォームドケア(trauma informed care)とは,トラウマを熟知した(informed)うえで行うケアであり,近年,アメリカを中心に注目を集めている。「トラウマを熟知する」とは「ケアの対象となる人の多くがこれまでの人生の中でトラウマ的な体験を経てきているのではないか」という視点をもつこと。

<参照>
精神科看護 2017年2月号(44-2) 特集:トラウマインフォームドケアとは何か?

疼痛

慢性疼痛の発生率が急速に増加しているため、オピオイド(鎮痛剤)の流行は引き続き公衆衛生上の課題となっています。 非薬理学的治療は、疼痛管理のために人気が高まっています。

◎解説

要は、薬だけでなく、その他のマッサージなどの介入も痛みの軽減に効果があるということが科学的にも推奨されてきているので、薬と併用して、痛みの問題に取り組みましょうということですね。

<補足説明>

・オピオイド

非常に強い、痛み止めの効果があり、がん疼痛の治療によく使われる薬剤です。日本は海外に比べてオピオイドの使用量が少ないことが知られています。

医療用麻薬ともほぼ同じ意味でも使われます。

・非薬理学的治療

マッサージ、リラクセーション、アロマテラピーなど、薬によらない治療のことを指します。

労働力

医療者の燃え尽き症候群とウェルビーイング (Well-being)に関する取り組みについて引き続き、取り組む必要があります。

また、患者とスタッフの安全性のバランスをとるための倫理的枠組みを開発し続けます。

◎解説

コロナの状況でも、医療者の労働環境が取り沙汰されていますが、病院で働く医師・看護師、コメディカルの労働環境は本当に過酷です。一方で、ミスは許されない労働環境です。そのため、医療者の労働と安全性は今後も引き続き、検討される課題となっています。

指導者

高齢社会に伴い、医療の場でも指導できる人材の不足が課題です。

新しい看護師を指導する必要がありますが、コストの面でも厳しく、指導者の配置の競争がますます厳しくなるでしょう。

学生を配置した方が合理的なのでしょうか?

◎解説

日本でもアメリカ同様、指導者の不足が取り沙汰されています。

日本では、

・看護師の30代~40代の中堅層の離職率が特に高くなっていることが問題となっています。

・団塊世代の看護師の大量退職が予測されていて、その結果、現場での看護職員の不足が危惧されています。

人材の不足 は、看護師の仕事量を増やし、それがさらに疲労 ・ストレスにつながるといった悪循環につながります。

人を育てるには、10年スパンで見なければならないと言われています。人を育てるためには、時間と費用がかかります。

特に、専門職の場合、教育がとても大事になってきます。

例えば、人工呼吸器の使い方にせよ、教科書を読むだけでは使いこなせるはずがありません。全て、技術を先輩達に教えてもらいながら学んでいくものです。

これから、人材不足の問題にどう対応していくのか、特に、「第1次ベビーブーム」で生まれた「団塊の世代」が、75歳以上となる2025年問題に日本がどう対処していくのか、世界的に注目されています。

機械学習

超音波を用いて診断をつけていくことは、2020年の麻酔科ケア看護の№1とも言える革新です。

また、ヘルスケアにおいて機械を用いてアルゴリズムを学習し、イベントを予測することは今後も引き続き、研究のトレンドとなります。

機器を用いて、身体状況を評価することは今後も実践されます。

◎解説

心電図モニターなどの機器を用いて、異常を発見していくことは、今後も引き続き行われるでしょう。

医療機器がどんどん進化していきます。それに合わせて、医療者も勉強していかなければなりません。

具体的には、機械の操作方法、機械が示している数値を意味づけできる能力、機械が故障しても異常に気付るような実践能力などなど、専門職として知るべき知識・技術は今後も増え続けていきます。

 

参照:Johns Hopkins Nursing Magazine.
What Nurses Need to Know: The 2020 Healthcare Forecast

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            大城真理子

    過去の経歴

    沖縄県立看護大学卒業→琉球大学大学院 (保健学修士)→看護師6年→沖縄県立看護大学大学院 (看護学博士) →Eötvös Loránd University (Master of Health Care Policy, Planning and Financing) →沖縄県立看護大学

    現在、ハンガリー政府 Tempus Public FoundationのAlumni Volunteer(ボランティア活動)もしています。

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