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【学位論文】研究計画書の書き方から効果的なプレゼン方法まで

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研究計画書とは?

研究の設計図のようなものです。

自然科学系の学位論文の計画書は、引用文献を除き、P30~40ページくらいが妥当です。

💡考え方のポイント💡

研究計画書は家を作る時の設計図のようなものです。下記のイメージで取り組めば分かりやすいかもしれません… 難しそうなことはシンプルに考えるといいと思います。

文献検討は、これまで〇〇のような家が建築されている。だから、私は△△のような家を作りますというイメージ

理論的視座は、家と言っても、洋風、和風などいろいろあるが、私は和風の家を建てますというイメージ

方法は、どんな材料を使うかというイメージです。和風の家なので、木材を使います。その他、和風の家を建てるのに必要な材料をどこで、どのように集めてくるかというようなイメージです。

想定している結論は、この設計図では、こんな感じの家が建ちますという感じでしょうか。

 

研究計画書のフォーマットと書き方

第1章 序論

第1節 問題提起

・ここでは、研究の背景について書きましょう。

・書き方は、研究テーマに関する世界的な傾向(データを用いる)⇒日本の傾向(データを用いる)⇒実践に関する状況(データを用いる、または現場の声)⇒問題提起

第2節 研究目的

・研究目的は明確に書きましょう。

・基本的に目的は1研究につき1つです。

第3節 研究上の問い

・出来るだけ具体的に記述しましょう。

第4節 研究仮説

・研究上の問いに対する回答のような感じで記述しましょう。

・仮説を立てるときのポイントは、具体的に、「○○すれば××になる」と言い切ることです。

第5節 用語の定義

・意外とこの部分は重要です!

※私は、研究テーマの主要となる用語を定義するために概念分析を行い1本の論文にまとめたくらい重要です。。

この定義がしっかりしていないと、後になって論文全体の整合性が合わなかったりと様々な問題が出てきます。

私が共著者として入った研究では、用語の定義を最初の段階で曖昧にしていたため、学術雑誌に投稿した際に、査読者から鋭い指摘を受け、論文全体の一貫性を担保するのに、大分苦労しました。

ですので、研究計画の段階で十分に検討しておくことが大事です。

第2章 文献検討

文献検討は、研究テーマに関する動向について記述します。

具体的には、どういった研究がされており、どういった結果が得られているのか。そして、何が問題となっているのかについて記述します。⇒そこから、自分の研究の位置付けを明らかにします。

第3章 理論的視座

大雑把な言い方をすると、事象の見方・捉え方です。

(例えば、少し乱暴な例えになるかもしれませんが、宗教で考えると私は仏教です、私はキリスト教です、私はイスラム教ですみたいな感じ…。それの学問verみたいな…)

ここの部分は、博士論文において、超大事です。

事象の見方によって、研究の枠組みとか、方法論に影響するためです。つまり、論文全体の流れに影響します。

第4章 方法

・手順が誰にでもイメージ出来るように具体的に記述しましょう。

根拠性をもって説明が出来るように、出来るだけ論文や書籍を用いて記述することをお勧めします。

調査実施施設:どのようにこの施設を選択したのかについても明記しましょう。

調査協力者の選定:選定基準、除外基準、その理由

サンプル数:なぜこの人数に設定したのか

調査内容:調査票を用いるならば、別添資料として添付。

データ分析方法:なぜこの分析手法を用いるのか。特に、質的研究を行う場合には、ここの部分の説明が根拠性をもって行えることが重要になってきます。

倫理的配慮

第5章 想定している結論

・研究を実施することにより得られる意義についても言及しましょう。

引用文献

 強く文献ソフトを活用することをオススメします。

【ポイント】

  • 研究テーマが決まり次第、早い段階で文献ソフト内で文献は管理しましょう。

オススメはEndNote(Amazonで購入したら安かったです。但し、英語版。)Mendeleyは無料です。ただ、サポートが充実している点、使いやすさでいえば、私はEndNoteが好きです。

評価のポイント

・誰がみても(専門分野外の人がみても)理解できるように分かりやすく記述することを意識しましょう。

・目的が明確である

・実現可能性:方法論のあたりを丁寧で具体的に記述しましょう。

・オリジナリティ:文献検討からの位置付けが明確であるか

・論理的に記述されているか:理論的視座に沿って研究が組み立てられているか

以上が、しっかり記述されていたら、研究を遂行するGOサインが出るでしょう。

※あくまでも計画書ですので、適宜、重要なポイントで論文としてまとめたり、学会で発表するなどして、第3者からの意見をもらいながら、研究を遂行することが大事です。

研究計画書の効果なプレゼンテーション方法

30ページものボリュームの研究計画書をプレゼンするには、ポイントを絞ることが大事です。

ステップ1:思考を整理するうえでも、一度、箇条書きにしてストーリーラインを作りましょう

ステップ2:ストーリーラインを作成したら、どの箇所に、どれくらいの時間を割くか時間配分を設定します。

ステップ3:時間配分に応じて、研究計画書のどの箇所をプレゼンするか選定します。

計画書検討会での質疑応答で気をつけること

前提

十分に準備をして計画検討会に臨むことが大事です。中途半端な計画書で検討会に臨むのは、審査員の受けるイメージも悪くなってしまいます。研究内容だけではない、研究に対する情熱も計画書を通して伝わるように意識することが重要です。

質疑応答での対応

・質問されたことに対して、検討をしていない場合は、素直に新たな視点を提示してもらったことに感謝の意を述べて、後日、検討し、次回の検討会でフィードバックをしましょう。

・検討会に参加している先生方からのコメントを全て計画書に反映する必要性が必ずしもありません。しかし、頂いたコメントに関しては、十分に吟味する必要はあります。頂いたコメントを反映しない方針という決定をしたのであれば、その理由を根拠性をもってしっかりフィードバックすることが大事です。

・質問に対して、答えられない場合は、黙り込むのではなく、今は十分に検討していないため、回答するのに時間が必要である等と意思表示をしっかりすることが大事です。ディスカッションの場であることを常に意識しましょう。

・批判的なコメントを言われた場合、落込みますが、決してあなたの人格・人間性を否定しているわけではありません。そこは、しっかり分けて捉えましょう。

 

 

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    過去の経歴

    沖縄県立看護大学卒業→琉球大学大学院 (保健学修士)→看護師6年→沖縄県立看護大学大学院 (看護学博士) →Eötvös Loránd University (Master of Health Care Policy, Planning and Financing) →沖縄県立看護大学

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