一言で研究と言っても、いろいろあります。看護研究を始める前に、自分の研究の役割をしっかりおさえておくことが結構大事だと思います。
看護研究の目的は、医療機関・研究機関、どこでも、共通の目標は、【看護研究=より良い看護の提供】ですが、所属している機関で、求められている役割が違うことを知っておくことが重要です。
大学・研究機関:エビデンスをつくることが求められる “新たな知の構築”
病院・医療機関:エビデンスを用いて実践の評価をすることが求められる “日々の実践を振り返り、業務改善”
上記の図を最近よく、雑誌や学会などでも目にするようになりました。
私自身、これまで、病院での院内看護研究や大学、研究機関で研究に関わってきて、この考え方を知っておけばもっと楽だったのに!!と心の底から思います。
ですので、今から看護研究を始める方は、ぜひこの考え方を心に留めて研究に臨むことをおススメします。
私は病院で看護師として働いている友人から、”今、看護研究をしているんだけど、統計どうしたらいい?とか、サンプル数どうしたらいい?”とよく聞かれます。上記の考え方に即して考えてみると、病棟での看護研究においては、エビデンスの構築は求められていないので、統計を用いた小難しい研究はしなくてもいいと言えます。(ちなみに2004年7月に開催された第30回日本看護研究学会学術集会でも、”臨床看護研究では、厳密な研究をしなければならないというイメージを払拭しなければならない”と明言されています。)
病棟の看護研究・看護実践では、エビデンスを活用して、看護の質がどう変わったのか、業務がどのように改善されたのかの方が大事なような気がします。
臨床看護研究
私は、病院で看護師をしている時に、看護研究の担当になり、残業、夜勤明けで、フラフラになりながら、看護研究のサンプル数を考えたりというような経験をしました。今考えると、エビデンスを活かした研究をするんだ!というところに意識があれば、そこまで自分の睡眠時間を犠牲にする必要はなかったでしょう。つまり、臨床で看護研究をする場合、看護業務の中で使えるエビデンスを取り入れながら、研究をすることが大事なのかと…
自分の土俵で相撲を取ることがポイントです。
修士課程(高度実践看護師コース)
修士課程(高度実践看護師コース)では、数ある研究論文の中から、質の高い論文や優れたエビデンスを選択する能力が求められます。そして、エビデンスを横断的活動を通して、ジェネラリストへ伝える役割があります。
博士後期課程
博士後期課程では、エビデンスを作る研究が求められます。
ですので、これまで他の研究者がやってきた研究を外観し、自分の研究の立ち位置を明らかにしたうえで、新しいエビデンスを構築していきます。