研究成果

【研究成果】乳房の異常に気づきつつも医療機関の受診が遅れるのはなぜだろう?

投稿日:2020年11月23日 更新日:

「乳房の異常に気づきつつも医療機関の受診が遅れるのはなぜだろう?」というテーマで、博士論文を書き、現在も引き続き、研究を続けています。

研究で得られた成果について、記事として少しずつ、まとめていきたいと思います。

どんな研究?

目的

乳房の異常に気づきつつも、医療機関を受診するまでに3ヶ月以上受診が遅れてしまった女性の背景を明らかにすること

この研究を知る上で知っておきたいポイント

1.乳房の異常に気づいてから受診に至るまでに3ヶ月以上の時間を要すると生命予後と関連すると言われています。

2.受診行動は、女性が生活する文化や環境と関連します。

例:イランなどのイスラム文化圏だと、性的な臓器(つまり、乳房)について話すことはタブーだとされている

例:エジプトやアフリカ諸国では、医療環境の整備が不十分

◎日本の状況は??

👉じゃあ、日本の状況はどうなのか?と考えた時に、まだ十分な研究がなされていないことがわかりました。

👉医療者からの声

乳腺外科の医療に携わっている医療者からも、乳房の異常に気づいたら、すぐに受診して欲しいけれど、重症化してから受診される方もいらっしゃるから、どうにかサポートをしたいとの声も聞かれました。

どうやって研究をしたのか?

乳腺外科に受診した乳がん患者さん約300名に直接会って調査(アンケート調査、インタビュー)を実施しました。

そして、乳房の異常に気づいてからすぐに医療機関を受診した方と、そうでなかった方のデータを比較して、受診が遅くなってしまった方の特徴を明らかにしました。

そこから何が分かったのか?

1.受診が遅れた方は、生活の中でさまざまなことが重なっていて、受診どころではない状況に置かれていました。(例えば、精神的・経済的に苦しい生活)

2.受診に際して、誰かに相談することが大事だということ。

一人で抱えこまずに、家族・友人、医療者に一言相談することが、受診に繋がるきっかけでした。

「受診をしようか、どうしようか迷っているとき」、「受診どころではないというとき」、少しでも周りの誰かに相談をすることで、サポートに繋がるきっかけになることが分かりました。

受診の問題だけでなく、困ったときには、誰かに相談することが大事だということが分かりました。

 

今後の研究の展開

今回の研究で、数は少なかったのですが、離島に居住する乳がん患者さんから、「自分が住んでいる島には、がん治療の出来る施設がなく、それで受診までに時間がかかってしまった」などという声も聞かれました。

そこで、離島に特化したがん医療への受診行動について研究を展開することにしました。

少しずつですが、離島の実状を明らかにし、援助に繋がる方略を明らかに出来たらと考えています。

※何か情報やご意見、研究へのアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームより、ご連絡頂けますと幸いです。

 

《参照》

公益財団法人 日本看護科学学会のサイト内の「看護研究の玉手箱」にも研究結果の一部・研究論文が掲載されていますので、興味があれば参照ください。

また、研究に対するアドバイス・ご意見などありましたら、本ブログまでご連絡いただければ幸いです。

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            大城真理子

    過去の経歴

    沖縄県立看護大学卒業→琉球大学大学院 (保健学修士)→看護師6年→沖縄県立看護大学大学院 (看護学博士) →Eötvös Loránd University (Master of Health Care Policy, Planning and Financing) →沖縄県立看護大学

    現在、ハンガリー政府 Tempus Public FoundationのAlumni Volunteer(ボランティア活動)もしています。

    Meet our alumni volunteers: Mariko Botar | ALUMNI (alumninetworkhungary.hu)

    ハンガリー留学に際して、お手伝いできることがあればボランティア活動の範囲内でサポートします。