大学院には多様な学び方があり、それぞれ、自分の生活とのバランスを取りながら、時間をかけて修了される方も沢山いらっしゃいます。
私は、在職中に研究生というポジションで学業と仕事の両立を図ってみたのですが、集中力が持たなかったため、思い切って仕事を辞めました。
そこから、3年間フルタイムの学生として学業に専念しました。
生活は、貯金をしていた200万円に加え、週に2日のアルバイトと、教授のティーチングアシスタント(TA)・リサーチアシスタント(RA)による収入、月12万円の奨学金を貸与しました。なんせ、お金がなかったので、何が何でも3年で終わらないと辞めるしか道はないというところからのスタートでした。
そこで、まずは、ロードマップを作り、時間管理を徹底的に行うことにしました。
雑誌の投稿記事などから、ロードマップの書かれている情報を徹底的に収集しました。
そして、1年次の4月の時点で自作のロードマップを作成していきました。幸運にも、多少のずれはありましたが、ロードマップの通りに動くことができました。
私が実際に行った博士後期課程のロードマップを下記に記載します。
ロードマップ
1年次:研究テーマの決定
研究テーマを探す、研究助成金の申請、座学の受講
①周辺領域の文献検討 ②目についた周辺領域に関する全ての勉強会に参加し、今の世の中で何か問題となっているのかにアンテナを張る ③研究助成金情報の収集 (補足:公益財団法人助成財団センターが使いやすかったです。)
※私の場合、研究業績が全くなかったため、12月の研究助成金(200万円)の申請に向けての準備として、文献検討の論文を1本執筆(紀要レベル、研究の動向について)+学会発表の準備も1年次の早い段階から始めました。
2年次:研究計画書の立案、倫理審査委員会通過
7月 ようやく、研究テーマの決定
8月 研究テーマについての世の中での位置づけを探るため、専門家に話を聞いたり現場に出向き1ヶ月研修を実施。
9月 現場で経験した感触と、専門家の意見を統合し、より具体的な文献検討の実施。研究計画書作成に着手。
10月 ・研究計画書の作成(調査方法の決定、どのような尺度を用いるのか、調査に係る著作権の許可取り等)※研究計画書のボリュームとしては、A4用紙、40ページ程度
・学内の研究計画検討会に提出⇒リジェクト⇒教授の先生5人より指摘された箇所について修正を加える。
11月 ・2度目の学内の研究計画検討会へ提出⇒審査通過
用語の定義について、文献検討をまとめる。(和文学会誌へ投稿)
12月 倫理審査委員会へ提出⇒リジェクト
1月 計画の見直しを行い、2度目の倫理審査委員会へ再提出⇒審査通過。プレテスト⇒プレテストから出てきた課題を踏まえて、研究計画をより具体的に修正
2月 本調査開始 ※本調査をしながら、学会会誌(英語論文)へ投稿準備開始
3月 本調査、学会発表
ポイント!! 取得すべき講義も並行してあります。その際の課題として、自分で論文を選んで来るようにということが多々あります。早めに自分の研究テーマが決定していれば、講義の課題と自分の研究テーマが合致して効率的に研究を進めることができます。
3年次:論文の執筆
4月 本調査
5月 本調査
6月~8月 データ分析、図・表の作成 ※英語論文の投稿
9月 博士論文のアウトラインの作成、学会発表2件(国際学会)
10月 第1週~第3週 文献検討・理論的視座の記述
第4週 研究1の結果・考察記述
11月 第1週 研究1の結果・考察記述
第2週~第3週 研究2の結果・考察の記述
第4週 引用文献の整理や付表の作成、体裁の見直し
12月~2月 論文審査と指摘箇所に対する修正、学会発表1件(国内学会)
3月 修了(学位授与)
ポイント!!
私が3年間を通じて、良かったなと思うことは、文献検討を行ったり、データを収集した際に、タイムリーに論文としてまとめたり、学会で発表していたことです。
メリット1:そのおかげで、その都度、論文の査読者からコメントを頂くことができ、早い段階で研究の修正に繋げることができました。
メリット2:また、学会発表の場では、様々な研究者と研究テーマについてディスカッションをすることができ、そのお陰でよりデータの解釈を深めることができたと思っています。
メリット3:博士論文を執筆する際に、ある程度まとめてあるので、スムーズに書き進めていくことができました。これが最大のメリットだったといってもいいでしょう!
メリット4:さらに、副査の先生に対するディフェンスの際にも、すでに論文として採択されているため、そこまで大幅な修正を求められることはなかったです。
メリット5:文章を書くトレーニングになるため、博士論文の最終稿を書く際に、ライティングへのストレスが少なく、スムーズにかける実感がありました。
まとめ
これが一連の流れです。全体像が把握できれば、今後どのようなパスを描いて進めばいいのか見えてくるのではないのでしょうか。